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by echalotes
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にっぽん・フランス「患者の気持ち」往復書簡⑤


この日は、血液検査と頚椎のIRMの結果を持って
手足の痺れに関して、神経の専門のドクター・アンドルーのところへ2度目の訪問です。

前に、この先生のキャビネの待合室が居間のようにゆっくりできると書いたせいか
1時間も待たされました。

c0124619_5341264.jpg


この前、この待合室で私の前に待っていた患者さんが
「ソファーに座ったら、寝込んでしまうから、こっちの椅子に座ってるんだよ」
と言っていたように
みんながそう思っているのか、
この日、私の前に待っていた女性も、私の後から来た2人も
そして私も、このソファーには座らず、硬い椅子に座っていました。

一般医にせよ、各専門のドクターにせよ、
その先生たちのキャビネは、新しいかったり古かったりではあるものの
いわゆるアパルトマン用の建物の中の一件になっていることが多く、
ピンポンを鳴らして入っていくので
通院というよりは、訪問しにいくような気持ちになるわけです。



フランス人のロロちゃんたちとのグループで
ある映画のお医者さんの出てくる3つのシーンを分析したことがありましたが
あれは、なかなか面白い作業でした。

いろんなタイプのキャビネがあることや
ほんの基本的なことだけだけれど、日本とフランスの医療システムの違いを考えたり
また、その映画の趣旨が様々な面での40代の危機というものであったのも
いずれ、自分がその道を通るなんて深くは考えずに分析していました。

その作業をしている間、
ロロちゃんは、いずれ日本で出産することになり、
私は、いずれフランスでガンの治療をすることになるとは
あり得ることとはいえ、本人たちは全く想像してなかったわね。

きっと、ドクターを患者の私がむしろジロジロと観察してしまうのは
このときの作業の時についてしまった癖のせいかもしれません。



ドクター・アンドルーは、この前と同様、ガムを噛んでいました。
いくら、ここはフランスとはいえ、それは患者にとって心地よいものではなく
感じ悪いとも思えました。

でも、とっさに
「あー、この先生はきっとお口の中の神経に問題があるのだ。
神経の先生だけに、それを解決する対処法をちゃんと見つけたのだ。
ガムを噛むことが、治療なんだな」

と、思い、先生にはわからない笑い方で

「ね、そうよね、そうに違いない。
私も、あなたと同じ思考回路、ユーモアのセンスになってきたでしょ?」

と、ツバメの王子につぶやきました。



肝心の手足で動いている“ありんこ”、痺れは、
どうやら
ガンやガンの治療とは全く別の問題からきているかもしれない
ということが、血液検査から察することができるので
もう一度、血液検査で詳しいことを調べて
その問題に関する専門医の所へ行くことになりそうです。

その専門とは Endocrinologie 内分泌科。

女性に多く見られる甲状腺の問題らしいのです。


ドクターが「この専門のドクター・ボワッソンは、この通りの少し先だよ」と
言い始めたときには、
「私は、この町のいろんなドクターのところを旅してるんですね~」と言って
また、今度はドクターにわかるように笑ってしまったら
ドクターも笑ってました。

問題がそれほど重大なことではないということがわかっているし、
ほんとうに、様々の科のドクターのキャビネを転々としている自分の姿を思い浮かべたら
考える暇もなく笑い出していました。


今朝は、その「転々」のひとつでもある血液検査センターへ
また血を吸い取られに行ってきました。

一部の検査は、このラボで行うのですぐに結果をもらえるのですが、
ほかの細かい検査は、パリのセンターで行うので結果は約1週間待たないといけないそうです。


私の血液は、パリまで旅をし
私は、この町でドクターたちのキャビネからキャビネへ旅をする。

血液の代わりに私がパリへ行きたいものです。


実に

人間は

まず存在になること事態が偶然、奇跡的なところがありますが

存在するため、存在していくためにも

臓器や骨、その他の器官

血液だったり、リンパやホルモン、神経などが

こんなに複雑に、単独で動きながらも関連して作動し、

うまい具合にできているわけで

しかし

その体、プラス、精神や感情や、経験や環境が絡まり

いろんな偶然、必然によって

いろんな状態になる。



春を迎えるに当たって
改めて
“生命”というものの
不思議さと
生きていくことの複雑さ
を感じる

そんな旅をしているのであります。


この快適な待合室には
また4月の後半に来ることになっています。

そのときは、初めて来たときのように
この黄色いソファーにゆったりと座り
「今日も先生はチューインガムを噛んでいるだろうか」
と考えることにしましょう。
by echalotes | 2010-02-20 23:29 | 患者の気持ち