土曜日の美術館 ラルマン邸
2010年 02月 07日
土曜日の町には、たくさんの人がやってくる。
うようよと泳いでる~。
波に酔わないように
ずんずんと人気のない方へいくと
そこに美術館がある。
町へ行くというときには必ずと言っていいほど
前を通っているけれど、中へ入るのは・・・何年ぶりだろう。
1490年から約30年かけて建てられたこのラルマン邸は
20世紀半ばから「装飾芸術美術館」として公開されている。
雨上がりで、建物もしっとりとしている。
入場無料の美術館だけれど、入ってすぐ右手の受付に
顔を出してから、先へ進む。
もちろん石畳。
もう少し踏み続けられたらきっと一枚の大きな石になってしまうのではないだろうか…
中庭に面する白い壁には
夏になると町の歴史などについてのスライドが上映される。
受付で貸してもらった美術館の案内のファイルを
中庭のベンチで開いてみる。
訪れる人がそれほどいないから
こういうふうに貸し出しができるのだろうけど、
なかなかいいシステムではないかいな。
中庭から見える美術館の外の建物も、いつもとは違って見える。
中庭の一部のテラスのようになっている部分には
フラスコ画が修復を待っているのではないか…
小さな一室は、展示会室になっていて
今は近くの町の中高生の“光”をテーマにした作品が展示されていた。
各展示室は、まるでラルマン邸にお呼ばれしたように
「お邪魔します」と言うようにドアを開けて入る。
ドアを開けながら左手の廊下の天井に眼が行く。
「冬の食堂」と名のつく部屋には
中世の終わり頃のこの地方の典型的な暖炉があり
それはそれは、思い切りこの部屋を温めていただろうなと思わせる。
「装飾芸術美術館」と言われるように
天上の装飾、タピスリー、絵画、家具、置物…
16世紀から18世紀ころまでのものが
よく残ってますね~。
冷たく静けさを感じさせる石の建物の中のこの木の床。
八角形を形取っている。
ここに住んでいた人たちも、この床を軋ませて歩いていたのだなぁ。
オラトワールと呼ばれる小さいチャペルがこの邸宅の中にあり
これはすばらしい
天上です。
「赤の部屋」とその奥の「青の部屋」
どこからか人の声が聞こえてくるけれど
この赤の部屋も青の部屋も独り占めして
「もう一度青い部屋!」
「赤い部屋もこの部分をよく見たい!」
床を軋ませる大きな音を響かせて動き回る。
何世紀も階段を担いで支えてきた彫刻を最後に見て
外へ出る
気持ちがいい。
美術館側から、いつも通っている通りの方を見て
東京だったら美術館から家へ戻るときは
必ず電車やバスに乗って
その中で美術館で見たものを消化していたことを思い出し
ここでは、歩いてすぐそこに家があるから
ちょっとつまらないなと
ちょっと贅沢なことを思ってみた。
この美術館のほかにも
入場無料の美術館が4つある。
なんていい町なんだろう。